merrymerrysheep’s diary

中小企業の社長の独り言。

これができたら一人前の社長

小さな、ふっと吹けば飛ぶような

会社の社長をしています。

給与も勤務時間も、福利厚生も、

待遇的なもの全部、大きな会社にはかないません。

だから、働いてくれる人はみんな大切。

辞められないように、いつも頭を悩ませています。

 

でも、ごくたまに、

会社に害悪をもたらす、という人もいる。

サボり癖がある、従業員同士のトラブル多発、

お金にだらしなくて不衛生、などなど。

それでも、会社側から解雇を言い出すことは

滅多なことがなければできません。

補助金の問題とか、

今後の人材紹介の問題とかあるので。

 

私が尊敬し、悩みを相談している社長曰く、

辞めさせたい従業員を、

自分から辞めさせられるようになってこそ

一人前の社長、だそう。

 

その技は、私には、まだまだ難易度が高い。

でも、去年の成功例を一つご紹介。

 

その人は、金遣いが荒く見栄っ張り。

お風呂に入っていないのか、洗濯をしていないのか

悪臭を漂わせていることが多かった。

しかも、上司にはいい顔をしながら、

後輩には当たりが強いという面も。

 

ある時、怠慢な態度の後輩のことを糾弾してきた。

あの後輩の態度が許せない、

なんとか厳罰してくれ、と。

注意しておくね、などと、

私がノラリクラリ対応していたら、一言。

「彼を辞めさせないなら、僕が辞めます」

 

私は「それなら仕方ないですね。分かりました」

とだけ答えた。

きっと彼は、自分の思惑通り、

後輩を辞めさせてくれるものと

思っていたのだと思う。

だから、私のセリフにショックを受けていたよう。

 

その後、同僚たちに

「社長は俺よりアイツを選んだ」と

吹聴して回っていたのも知っている。

 

結局彼は、自分で振り上げた拳の

下ろしどころが分からなくなったのか、

宣言通り、会社を去っていった。

 

彼がこき下ろしていた後輩は、

今では会社にいなくてはならない存在になり、

以前より勤務態度も良くなったように思う。

 

辞めた彼は、未だに就職活動を続けているようだと

街で偶然会ったという従業員から聞いた。

 

どんなに優秀であっても、

上司を試すようなことを言う従業員は、

会社のためにならないのではないかと思う。

 

社長と言ってもただの人で、

一緒に働いてくれる仲間が辞めるのは

いちいち辛くて落ち込んでしまう。

でも、人事判断こそ社長の大きな役割でもある。

 

件の尊敬する社長のように、

冷静にドライに、従業員を評価し、

それ相応の対処をできるようになるには、

あと何年かかるのだろうか……。

なかなかハードなミッションではある。